――覚悟を決めたけど、どうしたらいいかなぁ。

 幹太を保育園に送り届けたあと、電車に揺られてオフィスビルまでやってきた。
 今日も一日忙しくなるというのに、真綾の頭のほとんどを占めているのは央太とのことだ。

 央太とのデートから三日が経過した。
 従兄たちに遊んでもらった幹太は楽しい二日間だったらしく、帰ってきた日は疲れ切ってすぐに眠ってしまった。

 幹太に父親の話をする間もなく、日常がやってきて……今に至る。

 ――今夜こそは、幹太に話さなくちゃ。

 幹太は受け入れてくれるだろうか。それが怖くて、渋っている自分がいる。
 ハァと小さく息を吐き出してオフィスビルに入ろうとしたときだった。
 男女が何かを言っている光景が視界に入ってくる。

 男性の方は誰なのかわからないが、女性の方に見覚えがあった。品川だ。
 SMCプランニングチームの一員である。新卒ですぐこのチームに入って三年目の女性だ。
 かわいらしい女性で、チームの最年少として頑張っている。
 いつもニコニコとしている彼女だが、今は顔を引きつらせていた。