「帰ってきたなぁ」

 成田空港に降り立った小関真綾は、久しぶりに纏う日本の湿気たっぷりの空気を吸い込んで目を細めた。
 日本の地には懐かしさと寂しさ、愛しさ、やるせなさが残っているようにも思える。
 
 六月。梅雨の季節のはずが、今日の成田空港は快晴に見舞われていた。
 傘を用意しておいたのだが、必要はなさそうだ。
 ホッとしながら滑走路からまさに今飛び立つ瞬間のジェット機を見つめた。
 
 最後に成田空港に立ったときはロングだった髪は、今はミディアムヘアで緩くウェーブがかかっている。
 そして、母親として再びこの地に立つことになるなんて。ズタボロになっていたあの頃には思いもしなかった。
 
 身長百五十五センチと小柄な体型の真綾は、見た目こそはほんわかとした癒やし系だと言えるだろう。だが、実は頑固な部分もある。よく言えば芯が強いと言えないでもない。
 パワフルな一面を持っているが、涙もろい一面もある。
 そんなところは、六年前とあまり変わっていないかもしれない。
 
 母国の空気に哀愁を漂わせていた真綾だったが、自身の手を引っぱられたことによりハッと我に返る。