――ここは……?

啜り泣きをしている幹太の声が聞こえる。どうしたのだろうか、とゆっくりと目を開けると、見知らぬ天井が見えた。
 自分が置かれている状況がわからず目を何度か瞬かせていると、央太と幹太が顔をのぞき込んできた。

「え? 幹太? 央太さん?」

 驚いて声を上げると、二人は盛大なため息と共に力が抜けきったように同時に椅子に座りこんだ。
 幹太に至っては、泣きじゃくりだした。

「よかった……!」

 二人してハモりながら、安堵の声を上げる。
 そこでようやくここが病院で、あのとき歩道橋の階段を滑り落ちてしまったことを思い出した。
 ゆっくりと身体を起こそうとすると、それを央太が手助けしてくれる。
 すると、幹太が抱きついてきた。ギュッと抱きしめて、「心配かけてごめんね」と何度も彼の頭を撫でる。
 そんな二人を見ていた央太は、これまでのことを教えてくれた。

「あのあと、救急車を呼んでこの病院に運ばれたんだ。精密検査したけど、異常はない。でも、一晩入院して様子見して何事もなければ明朝退院になるらしい。俺が一応手続きとかはしておいたから」