こころが揺れるの、とめられない

-2-



HRが終わり担任の先生が出ていくと、みんなが一斉に帰り支度をはじめ、教室の中が賑やかになった。

わたしは鞄を背負い、さやちんに「じゃあね」と声をかけてから、急ぎ足で廊下に出る。


……1階の渡り廊下を通るよりも、北側の階段を使った方が、目立たないよね。


そう判断して、昇降口のそばに降りられる近くの階段を通り過ぎようとしたとき。

パシッと腕を掴まれて、体が後ろへ傾いた。


「どこ行くんだよ」


聞こえた声が誰のものか、わたしにはすぐわかった。

途端にはやまる心臓の鼓動に、内心、他人事のように呆れてしまう。


「……綾人」


わたしを引き止めたのは、綾人だった。

どうやら、わたしが出てくるのを待っていたみたいだ。

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