禁断溺愛〜政略花嫁は悪魔に純潔を甘く奪われ愛を宿す〜
『警察に包囲された! 身代わりを用意して逃げ切る予定だが、清華はまだホテルにいるか!? あいつを出さないようにしてくれ、警察に何か喋られたら困る!』
「それは大変ですね、わかりました。お部屋に伺ってみます」

棗さんはうっとりと悪魔の笑みを浮かべながら、私の髪を一房掬って口づけ、電話を切る。

「警察って」
「ああ、東藤の元秘書が重体で病院に搬送されていたんだが、目覚めて司法取引に応じたんだ。その情報が今日開示されて、東藤に包囲網が敷かれた」
「捕まるんですか?」
「いや。こちらの予定もあって二ヶ月は泳がせる。その関係で、急だが清華には今日からここに住んでもらうことになる」
「えっ、ここに?」

私は勢いよく起き上がってから、白い肌に散った赤い跡に気づいてシーツで胸元を隠す。

「ひゃあっ、これって」
「誰にも奪われないように」

棗さんは悪戯っぽくそう言って、「詳しい話をしようか」と私をまた抱き寄せた。
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