男装獣師と妖獣ノエル ~騎士団で紅一点!? 幼馴染の副団長が過保護です~
4章 獣師な彼女と、親友
 ラビは書庫の鍵を借りるなり、ノエルと中に閉じこもった。

 書庫は保管用であって、閲覧席は一切設けられていなかった。ラビとノエルは床にそのまま腰を下ろし、先程ゆっくりと見る事が出来なかった手書きのメモ用紙から確認した。

 そこには、被害者の男が目撃された日時と場所、立ち寄った先の店名が並んでいた。

「うーん、名前だけ見ても分かんないなぁ」
『実際に回ってみるしかないだろうな。もしかしたら、俺が絞り込んでいるところにある店かもしれねぇし』

 ひとまずは、明日出歩いてみればハッキリするだろう、という事で話しは落ち着いた。

 書庫には、地図や土地に関する多くの本や図鑑が揃えられていた。本のページいっぱいに拡大された各土地の図は、細かな地形まで描かれて見やすく、土地の害獣や植物に関わる図鑑も色が鮮明に付けられていた。

 ラビは、胡坐をかいて床に本を広げた。ノエルが彼女の背もたれのようにのんびりと寝そべり、同じページを覗きこんでラビの疑問に答える。彼の話は豊富で、知らない土地の名前が出るたび、それに関わる地図と図鑑が引っ張り出された。
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