恋なんてしないと決めていたのに、冷徹御曹司に囲われ溺愛されました
13、社内で公認の仲になりました
「美鈴、このネクタイ締めてくれない?」
朝食の後片付けが終わると、絢斗がエンジ色のネクタイを私に差し出した。
それは私が昨日クリスマスプレゼントとして彼にあげたもの。
「私、締め方わからないよ」
「大丈夫。俺の言う通りにすればいいから」
 彼の笑顔に負けて、ネクタイを受け取った。
「ちょっと屈んで」
 絢斗の背が高くてそうお願いしたら、彼は「はい。仰せのままに」と恭しく言って私がやりやすいように屈んだ。
 恋人なのにおかしいかもしれないけど、目と鼻の先に彼の顔があると、なんだか緊張する。
 ネクタイの両端を交差させて結んでいくが、途中からわからなくなって首を傾げた。
「あれ? この後どうするんだっけ?」
「いま手に持ってるのを間に入れてギュッと結ぶ」
 絢斗のレクチャー通りにやってなんとか結べた。
「なかなかうまいな。これから毎日頼もうかな」
 私の心臓が持たないんですけど。
 今もドキドキしてる。
「新婚さんみたいだね」
 
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