結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~

二人の夜

 別荘に帰ると、待ちわびていたリヒトがアルベルトに飛びついてくる。軽々と抱き上げると、リヒトはアルベルトの頬を両手で挟んで喜んだ。

「パパ! パパ! このお家はすごく広くて、僕の部屋もあるんだよ!」
「あぁ、リヒト。いいかい、今夜からはリヒトの部屋で寝るんだよ」
「僕の部屋で、寝るの? ママも一緒?」

 リヒトの素直な疑問に、アルベルトは首を横に振った。

「ママはリヒトが寝るまで一緒にいるけど、その後はパパと一緒に夫婦の部屋で寝るんだ」
「夫婦の部屋?」

 リヒトは聞き慣れない言葉を繰り返すと、アルベルトはにっこりと笑って答えた。

「あぁ、パパとママは夫婦になるからね。リヒトとこれから、パパもずっと一緒に暮らすんだよ」
「パパと一緒に暮らせるの? ずっと?」
「あぁ、ずっとだ。といっても、リヒトが大きくなって、家を出て行きたくなるまでかな」
「パパ!」

 喜びを身体全身で表すリヒトを、アルベルトは高く持ち上げて上下に揺らす。するとリヒトも声を上げて笑い始めた。

 ソフィアは何気なく言われた『夫婦の部屋で一緒に寝る』という言葉に思わず反応してしまい、顔を赤くする。別荘にある一番大きな寝室のベッドだけは新調されていて、それに気がついたソフィアはさらに顔を赤くさせた。





「リヒトはもう寝たかい?」
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