結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
エピローグ

「まさか、ソフィアがストールを首に巻いていたのが新聞に載って、こんなにも流行になるとは思わなかったわ」
「エルーサったら。でも嬉しい悲鳴でしょ?」

 王宮で開かれたパーティーの後、新聞の一面にソフィアと王妃の写真が掲載されるとナード糸のレース編みが一気に有名になる。製糸工場も無事に完成したことで、ナード糸の供給は増えたけれど今度は注文が殺到しすぎて編み手がおいつかない。

 ソフィアが首に巻いていたことから、『ソフィア巻き』と名付けられストールが飛ぶように売れていく。一躍有名となったソフィアの傍らには、いつもアルベルトの姿があった。

「でも、同じ会場であったローズの事件が目立たなくて良かったわね」
「そうね、ゴシップ系の新聞が記事にしていたけど、大手は王族の方を選んで記事にしていたから良かったわ」

 ローズはその後、尋問にかけられていると聞く。隣国に戻って一度は結婚したようだが、相手に見放されて離婚、それでアルベルトを思い出しこの国に来てみたら既に結婚していた。それも自分が利用したソフィアが妻だったため、一方的に恨みを募らせていたようだ。

 職人の一人をたらしこみ、パートナーとして王宮内に入り込んだところで事件を起こした。今回は余罪も多いため簡単に牢から出ることはできないだろう、とアルベルトは言っている。

 ソフィアはエルーサと話しながら小さな靴下を編んでいた。お腹の中には、すでに二人目となる子どもがいる。

「それにしても、本当に良かったわね。ソフィア。今度の妊娠は無理することもないし、出産は王都のエリート医師たちに見守られながらするんでしょ」
「そうね、リヒトの時とは大違いね。あの時はエルーサしかいなくて、お金もつきそうになって」
「そうそう、産婆のおばあさんがあんたの宝石を持ち逃げしようとして、私が止めたんだよ!」
「えっ、そんなことがあったの?」

 二人で昔のことを語り始めると止まらない。だが、ソフィアは既に辛い過去も笑い飛ばせるようになっていた。

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