色褪せて、着色して。~悪役令嬢、再生物語~Ⅰ
1,断罪イベント

1,断罪イベント

「セシル・マルティネス。貴様とは只今をもって婚約を解消し、犯罪者として警察に連行する!」



 ヒューゴの特徴ある低い声が、会場である体育館に響き渡った。
 優雅に流れる音楽はピタリと止み、会場にいる卒業生の視線の先にいるのはこの私。
 ヒューゴに突き飛ばされ、その場にしゃがみ込む私。
 よくある乙女ゲームの断罪イベントが自分自身に降りかかっているのを認めたくない。
 …というか乙女ゲームなんて、私はしたことなんてないから詳しくなんて知らないし。
 それでも、周りのモブどもが「何コレ、断罪イベント? クスクスクス」という笑い声がはっきりと聴こえる。

 今日の卒業パーティーにはお忍びで王族の人間が来ているという噂。
 これ以上にない恥。
 身体をブルブル震わせながら考える。
 どうして、
 私は、
 断罪イベントなるものを受けているのだろう・・・
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