【コミカライズ配信中】婚約破棄したお馬鹿な王子はほっといて、悪役令嬢は精霊の森で幸せになります。(連載版)

 学園最後の舞踏会で。エルドラッドに婚約破棄をされた悪役令嬢エルモ・トルッテは――友達に手紙を書くと約束して屋敷に戻ると。

『『一族の恥さらし! よく、ここに戻ってこれたな!』』

 すでに、エルドラッドとの婚約破棄の話を知っていた両親に。
 トランクケースひとつと、少しのお金を投げつけられて『ニ度と、顔を見せるな!』と勘当された。

 最後まで娘を愛してはくれず。
 自分のことしか考えない人たち。 


「………いままで、お世話になりました」


 みだれた髪をゆいワンピースに着替え、トランクケースを持って隣町まで歩き、相乗り馬車に乗る。
 ここよりも遠くにいきたくて、いくつもの馬車を乗り継ぎ、いくつもの国境をこえてたどり着いた。

(たしかめた地図だと、ここから先は険しい山しかない)

 
 ここが最終地点。

 エルモはトランクケースを待ち、馬車を降りて、雲ひとつない青空を見上げた。

「……ここが山間の国サーティーアね」

 この先はゲームとは関係のない、穏やかな日々を過ごしたいな。

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