「アユリ、こっちに来てくれないか」

「はい?」

「今日は君と一緒にいたいんだ」



 夫であるレイヤと結婚したのは、今から約二年前。
 しかし私とレイヤは、親同士が決めた結婚で、いわゆる政略結婚だった。

 レイヤは悪い人ではないし、優しい人なのだけれど。レイヤには他に思い人がいるということを、私は知っている。
 レイヤはその女性のことを、ずっと忘れられずにいる。 だから私のことも、妻として見てくれていない。

 私はレイヤから愛されることなんて、この先ずっとないんだ。
 ずっとずっと、そう思っていたのにーーー。




「アユリ、君はもしかして……俺との離婚を考えているか?」

「えっ……?」

「違うと言いたいのか?」


 それなのにレイヤは、私をベッドへ押し倒すと、私を抱いた。  
 それがレイヤの、私へのせめてもの償いなんだと思っていたから。
 でもーーー。



「アユリ、俺は君が好きだ。愛している」

「君は俺の妻だ。簡単に君を手放せる訳がないだろう?」

 アユリの夫・レイヤ(25)

 アユリとは二年前に結婚した。アユリいわく、思い人がいるということであるが……。
 アユリのことを大切にしたいと思っている反面、アユリが離婚したがっていることに気付き、困惑する。


「レイヤ……私もあなたが好き。 でも……」

「どうして? あなたには、心にずっと思ってる人がいるんでしょう?」

 主人公・アユリ(25)
 ティアナ家の長女。両親が決めた結婚相手・レイヤと二年前に結婚。
 しかしレイヤに思い人がいることを知り、離婚するかどうか葛藤している。
 実家は有名なホテルを経営している。



START 2022/11/10〜 2023/06/01


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あらすじ

 両親の決めた相手・レイヤ(25)と二年前に結婚した主人公のアユリ(25)は、レイヤに思い人がいることを偶然知ってしまう。

 しかしレイヤは、そのことを黙っていたのだった。
 レイヤは、アユリのことを大切にしたいと思っている。 アユリもまた、レイヤに思いを寄せているのだが……。

 レイヤの気持ちに気付けないアユリは、レイヤのためも離婚したほうが良いのではないか、と思い始めていて……。

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