離婚予定の契約妻ですが、クールな御曹司に溺愛されて極甘懐妊しました
小さな綻び
 泰雅は先週から百田ホールディングスの顧問弁護士として週2回来社するようになった。

 元々百田ホールディングスと泰雅の勤め先の高梨・モルトレー法律事務所は顧問契約を結んでおり、ここで定期の担当弁護士の入れ替えが行われ、泰雅が着任することになったらしい。

 泰雅は『純玲を驚かせようと思って黙っていた』といっていたが、本当に驚かされた。

 ただ、泰雅が顔を出すのは法務部なので、今のところ純玲と顔を合わせることは殆どない。

 美貌のエリート弁護士が顧問に着任したことが社内で広まると同時に、あの日ロビーで堂々と泰雅が立ちまわったこともあり、彼が純玲の夫だと言うことも知れ渡った。

 あれから2週間ほどたっているが、お陰で純玲に対する『結婚間近の相手に振られた女』という憐れみや揶揄するような視線はなくなった。好奇心に満ちた目で見られることはあるけれど。

 結婚に伴う社内手続きも行った。報告したとき、神崎をかなり驚かせてしまった。

 瑠美は、たまに出くわすと恨めしそうな顔で睨みつけてくるが、今の所何か言ってくることはない。
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