断る――――前にもそう言ったはずだ

15.断罪と糾弾、それから後悔

 厳かな雰囲気の中、手足を縛られた三人の貴族が膝を突く。

 見目麗しい若い女性が一人と、恰幅のいい年配の男性が一人、それから長身の若い男性が一人だ。

 彼らは今、国家を揺るがしかねない重大な嫌疑がかけられている。


 すなわち、王太子妃モニカを妃の座から排除せんとする陰謀だ。


 見目麗しい若い女性――――コゼットは王太子エルネストの寝室に侵入し、妃に成り上がろうとした。
 長身の若い男性――――ヴィクトルは王太子妃モニカの寝室に侵入し、彼女を襲うことで、不貞事実を作り上げようとした。

 この時点で紛うことなき立派な陰謀である。

 しかし、彼等の陰謀はそれだけでは終わらなかった。

 コゼットとヴィクトルの二人を捕まえたあと、彼等の身辺調査が徹底的に行われた。
 その結果、モニカが毎朝飲んでいるお茶には、子ができにくくなる効果があることが判明したのである。

 一般にはまだ流通していない茶葉な上、毒見役は未婚の女性が主。口に含んだ程度では目に見える健康被害がないことから、今日まで露呈することはなかった。

 茶葉の仕入ルート――――コゼットの父親であるカステルノー伯爵が本件に関与していることは明白である。 


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