セカンドバージン争奪戦~当事者は私ですけど?
episode③
「ゆぅーあー」
馬鹿じゃない?センパイに申し訳ないけど、もう一度言わせて…会社の建物前でそんなに大声で人の名前を呼ぶなんて馬鹿でしょ?
「つーかまえた」
「…鬼ごっこはしてません」
「でも逃げた」
「普通に帰宅です」
「普通の帰宅がダッシュ?」
「…いけませんか?」
「なぁ、ちょっと話がしたい」
桐谷センパイは朝のように人通りの邪魔にならないように私を立たせると
「俺に時間をくれ」
と真面目に言ってくる。
「どうして?」
「あの日のこと、申し訳ないと思ってたんだ」
「…そうですか…でも申し訳ないと思ってもらうことないですから、大丈夫です」
「いや…俺も未熟だったから…痛がってたのをどうしてもやれなくて」
「はっ?何を…こんなところで何をおっしゃって…おられる?」
慌てて桐谷センパイ…いや、ヨウの言葉を遮るが
「今ならうまく導いてやれるから」
「はぁーっ?」
こっちの声が大きくなってしまった。