幼馴染みの鍵が開いた瞬間から溺愛が止まらない


 彼女が後ろから姿を見せる。

 私のことを睨むように見てる。

 奏ちゃんが私の腕を掴んだまま、彼女を見たから。

 そう、彼女だって告白したんだよね。
「ああ、お疲れ様。気をつけて帰ってね。」

 奏ちゃんは木下さんに告げた。
 私の腕を引いて店に入った。

「……奏ちゃんこそ、木下さんから告白されたのに雇うなんて、付き合う気あるんだね。」
 私は、ついイライラと言ってしまった。
「……お前、それどうして……まさか菜摘?」

「そんな奏ちゃんが、私を責めるなんて、ひどいと思わない?」
「俺は、今付き合う気はないと言ってある。」

「そんなの。好きな相手からそばにいていいと言われたのに、フラれたと思うわけないじゃん。」
「でも、社会復帰の手伝いだから、関係ない。」

「関係ない?は?これだから奏ちゃんは、ダメなんだよ。」
「うるせー、お前だってまだ気を持たせてんだろ、俺より酷いだろ。」

 奏ちゃんをじっと見て言った。
「明日返事するつもりだった。そのために……今日ここ来たのに。」涙があふれた。
「……おい。緑……。」

 正面から、涙で霞む目を開いて伝えた。
「教えて。私は奏ちゃんの幼馴染だけど、奏ちゃんを好きになったらどうすればいい?」

 奏ちゃんは、私の腕をゆっくり離して、ぎゅっと自分の手を握った。
「お前、俺のこと昔から兄みたいに慕ってくれてたよな。今言ったことは俺を男として見てくれたと思っていいんだな?」

「……わかった。妹でいて欲しいんだね。」
「緑、そんなこと言ってないだろ。」

 
 
 

 
 
 


 


 
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