竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜

18 暴れだす欲望 竜王SIDE

 
(おかしい。そんなに遠くに行けるわけないのだが、どこに隠れたんだ!)


 シュウシュウと口から竜気を出しながら周囲を探すも、リコを捕まえた竜の姿が見つからない。競技場のまわりは森になっているから、そこに隠れたのだろうか。もしかしたら、俺の出した竜気に当てられ、飛ばされてしまったのかもしれない。


『どこだ! どこにいる!』


 リコはたしかにあの竜の口の中に入った。しかもあの竜は正気を失っていたのだ。たとえ見つかったとしても、相棒の騎士さえも噛みつく状態では、リコが五体満足でいられない可能性が高い。


 そう考えると、胸の奥からドロドロとした熱い塊が押し寄せてくる。今まで味わったことがない苦しさ。渇望。全身がリコを欲して、暴れだそうとしていた。

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