見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
式場を見に行こう!
──冬の雪国には珍しく青空が広がり、雪景色の中、賑やかな声が響いている。

「今日はちょうどお庭を開放して、ちょっとした雪まつりをしてたんですよー。ご近所の方々や式場をご利用頂いたご夫婦さん達がお子さんを連れて来てくれたりして、毎年ご好評頂いてましてねー」

と手で示されたのは、夏場ならガーデンウェディングの会場となる芝生の広いお庭。
冬の今時期は一面の銀世界になるのだそう。

そして今日はそこに雪の滑り台やかまくらがあり、子ども達がキャーキャーと楽しそうな歓声をあげているのが見える。

さらに、入口の洋風の門からエントランスまでの広いアプローチにはキッチンカーも来ていて、なかなかの賑わいを見せている。

「いーな、すげぇ楽しそう。雪合戦とかしてぇな」
「そうだね、暖仁くんや弟たちと張り合って必死にやりそうだよね、ふふっ」


今日は、前に伊織が見学の予約をしてくれた、隣県にある結婚式場〝フルール ウェディングガーデン〞のブライダルフェアに来たんだけど、駐車場に着いて早々、お庭から賑わう声が聞こえてきてたんだ。

何だろう?と思いながら式場のエントランスに入ると、スタッフさんが説明してくれた。

こういう式場ってちょっと敷居が高いと思ってたんだけど、ファミリー向けにこんな楽しいイベントをされてて、なんだか親しみやすそう。



「今日は長野からお越しなんですよね!ご予約頂いた上、雪道の遠いところ、誠にありがとうございます。本日のご見学を担当させて頂きます、北条(ほうじょう)と申します!よろしくお願いいたします」

そう挨拶してくれた北条さんはショートカットのはつらつとした印象の女性で、気さくにお話しできそうな雰囲気。

…あ!北条さんて、あの番組に式場のスタッフさんで出てた人だ!
何だかテレビで見た人と実際に会うと、芸能人に会ったような感じがするなぁ。


私達は結婚式の事は何もわからないから、一から教えてもらいたくて担当さんをつけてもらうことにした。

「本当に何もわからなくて…恥ずかしいんですけど…」と話すと、北条さんはヒマワリみたいな笑顔で手をひらひらと振った。

「全く恥ずかしいことなんてありませんよ。皆さんそうですし。それに知っていく度にどんどん楽しくなっていきますから!」

そんな風に言って下さることに安心感を覚え、緊張もほぐれた。


北条さんに結婚式や披露宴の概要と、こちらのガーデンウェディングについてのお話を聞かせてもらい、私達のぼんやりとした希望などを話しながら、室内の会場や装飾なども色々と見て回った。

どれも当事者としては初めて見るものばかりで、どこのどれを見ても輝いて見えて、すごくワクワクした。

伊織もそうみたいで、きょろきょろと興味深そうに見てるのがとっても嬉しかった。
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