エリートなあなた
隠してみても…。


つきあたりにある階段を使い、最上階へ颯爽と向かう姿をただ見送りながら。



やっぱり部下に対するフォローが手厚い人なんだ、と2度目の今回もまた納得した…。




「――で、…それで?」


翌日のランチタイムに訪れているのは、都内でも人気のイタリアンレストラン。



カントリー調の店の雰囲気とお手ごろ感とは対照的に、メニューもその味も本場仕込みで大人気のお店である。



向かいの席で話を聞き流しながら、トマトベースのパスタをフォークでくるくると回している美女の発言が冒頭のもの。


「どうって、…終わったけど?」


対して話し終えた私は、チーズの香りがそそるリゾットをスプーンですくった。



熱々のそれを一口運ぶと、芳醇なチーズの味とお米のベストマッチに頬が緩んでしまう。



「…中学生以下。ううん、今どきの幼稚園児以下ね」


そんな私に対して盛大な溜め息を吐き出し、じつに失礼な言葉をお見舞いしてくれる。



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