7年目の浮気

重なるデート


「普通の格好でいいんだよね?」

茉莉花は自分を全身鏡に写し、つぶやいた。


あの後、加藤は「そうだ、」と言いながらカバンからチケットを取り出し、茉莉花に渡した。

「篠原さん、明日これ、一緒に行こうよ。」

「コンサート?」

「先輩のなんだけど、こういうの、嫌いじゃなかったら。」

「わたし、行けな…、」

茉莉花は断ろうとしたが、加藤は立ち上がり、「待ってるから。」と言って帰ってしまったのだった。


迷った末、行くことにした。
昼間だし、折角のチケットを無駄にするのも悪い。


「…もう行かなきゃ。」


茉莉花は家を出た。
< 105 / 163 >

この作品をシェア

pagetop