7年目の浮気
重なるデート
「普通の格好でいいんだよね?」
茉莉花は自分を全身鏡に写し、つぶやいた。
あの後、加藤は「そうだ、」と言いながらカバンからチケットを取り出し、茉莉花に渡した。
「篠原さん、明日これ、一緒に行こうよ。」
「コンサート?」
「先輩のなんだけど、こういうの、嫌いじゃなかったら。」
「わたし、行けな…、」
茉莉花は断ろうとしたが、加藤は立ち上がり、「待ってるから。」と言って帰ってしまったのだった。
迷った末、行くことにした。
昼間だし、折角のチケットを無駄にするのも悪い。
「…もう行かなきゃ。」
茉莉花は家を出た。