美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!
 【……だからさ…】
 一方で、光竜は続けます。
 【光の前では何人も“定義”できない…! …全ての輪郭(モノ)は光の前では混ざり合う!】

 「よ、よせ!」

 【“光で消してやる”! 消えろ!みんな消えろ!】
 光竜が“光を吹き出しました”!

 〔フィィーーンッ!!〕
 という音、それは荒れ狂う光の暴風!
 まず濃色のカーテンや布団が、そのフォトン(光子)の大波に堪えきれなくなり、悲痛なる炎の叫びを上げ始めます!

 「達也ー!!君を助けたい!」
 と訴える竜一ですが、すでに彼の真っ黒な眼球は沸騰を始めていたのです!


 「クッ――!!」

…………
………
……


 「…僕を拒絶したか…」

 高空…。
 南竜一は間一髪、天空に脱出していました。
 彼は暫く無言で、そのボロアパートが焼け落ちていく始終を見つめていました。消防車やら救急車やらのサイレンが遠くに聞こえ、焼け出された住人はうろたえ、野次馬の群れはもう形成されています。
 彼はひとしきり眼下の“人々の営み”を見終えると、それから……
 「まぁしかし、手馴づける事はできなかったが、僕の存在を隠す、良い目眩ましになってくれるだろう…」
 と静かに嘲笑してみせました。

 そんな“強がり”を言わせたのは、もちろん彼の『ドラグーン・オブ・ザ・ライトニング』の部分であり、しかし、この事件を決定的に悲劇にさせている箇所は、彼の“南竜一”の部分が……
 「僕の能力で、100%の君の心が理解出来たって結局、分かり合えないし…誰も癒せないんじゃ… 能力なんて何にも…何にも… 無意味じゃないかよ…」
 と、涙している事に違いありません。



 そんな少年の肩を雷竜が抱いてやれば、今夜もまた、“不思議な通り雨”が『感情の砂丘』に染み渡ることでしょう…
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