粉雪2-sleeping beauty-
『…何、寝転がってんだよ…。』


これが、隼人さんとの出会いだった。


チャラチャラして、女連れて歩いてたよ。



“見てんじゃねぇよ!”なんてイキがってたら、思いっきり胸ぐら捕まれてさ。



『…威勢が良いのは認めるけど、誰にでも噛み付いてたら、てめぇが怪我するぞ?』


その目に、何も言えなくなった。



そのまま有無を言わさず隼人さんの家に連れて行かれたよ。


千里も確か、こんなカンジで隼人さんと出会ったって言ってたっけ?


あの人、やっぱり寂しかったのかなって、今では思う。



隼人さんは、強くて、すっげぇ格好良いと思ってた。


たまにメチャクチャやることもあったけど、それでも俺は、憧れてたんだ。


生きる目標なんて何もなかったから、“この人のようになりたい”ってだけだった。




あの人の私生活は、あんまりお前には話したくないけどさ。


毎日女の家に入り浸って、飲み歩いて。


俺なんか胃薬係りだったんだぜ?




でもあの人は、ずっと孤独と戦ってた。


一番身近に居たはずなのに、俺は何も気付けなかった。


その孤独を埋めてくれたが、千里だよ。




お前ら二人は、俺の恩人だからさ。


そんなお前らの為になれたかな?


こんな俺でも、役に立ったかな…?





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