不思議の国のアイツ -暴走族総長純情伝-
不良は私の前まで来ると、止まらずにそのまま私の横を通り過ぎ、改札を出て行った。
(あれ?私の勘違いだったのかな?)
少しその場で立ちすくんでいたけど、入学式のことを思い出し、私は、急いで改札を出て、高校へと向った。
私の30メートルくらい前を金髪の不良が歩いている。
背が高いうえに金髪だから、すぐに見分けがついた。
ここまで高校に近くなると他の生徒も大勢歩いている。
ただその不良は、私と同じ高校ではないことは確かだった。
なぜなら、私の私立百合ヶ丘高等学校は、女子高だから。
そう、男はいない。
ということは・・・私は、不良がどの高校かわかった。
この道を通る高校生は、2つの高校しかないはず。
ひとつは、私の通う私立百合ヶ丘高等学校。
そしてもうひとつが、その隣にある男子校の公立河下工業高校だった。
(なんだ、たまたま方向が一緒だっただけか。話かけられたと思ったのは、私の勘違いね。)
予想通り、金髪の不良は、河下工業高校の校門をくぐって中に入っていった。
そして、私は、その隣にある百合ヶ丘高等学校の校門をくぐって中に入っていった。
(やっぱり女の子だらけだね。)
中学が共学だった私には、少し抵抗があったけど、そうも言ってられない。
気持ちも新たに引き締めて、張り出してあった紙に書いてある教室へと向った。