神様のきまぐれ

うしろだて

南国の太陽の香りは、
ヒナコのイメージと、
俺の中で直結する。


昼間に、寝具が吸収した
太陽の香りが、飲み過ぎて、
元々浅くなってた眠りに
作用する。


物音で目を覚ませば、
すっかり、明るくなっていた
室内に、夜明けを知る。


最近、飲み過ぎだよな・・・。

「あったまいてぇ・・・。」

思わず、顔をしかめた。


何か、音が続いている。

そういえば、じいさんが、
明日は早く出掛けるって
いってた事を思い出し、
寝床を後にする。

玄関の方からだし、
きっと、あの人だ。


ヒナコの祖父・・。


不思議な人だ。

自分の知人でもなければ
面識すらない俺達に、
ヒナコとタクトが
世話になったからと言って、
宿を提供してくれた。


「おはようございます。
突然来たのに、昨日から
ありがとうございました。」

自分達より、
はるかに飲んでいたと思えぬ、
すっきりとした表情。

すっとのびた背筋・・

静かなモノ音は、やはり、
この家の主のものだった。


 
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