愛しのマイ☆ドクター

発病

それから

僕と美羽は毎日夜

消灯時間までいろんな話をした



美羽は年齢のわりには

とてもいろんなことを

知っていて

話してて退屈することは

ぜんぜんなかった



それは僕が彼女のファンだという

ことを差し引いてもそうだった



特に彼女の仕事に対する

熱意は一社会人として

見習うべきものさえあった



『美羽はね

やっぱアイドルって

ファンの人達がいてはじめて

できる仕事だと思うのね』



『うん そりゃそうだよね』



『ファンの人達が

美羽のCDとか写真集とか

買ってくれるから

お母さんがちゃんと病院で

治療受けれてるわけだしね』



『うん・・・』



『だからね 美羽は

いろんなアイドルを常に研究してるの』



『研究?どんなことしてんの?』



『うん いろいろだけど

たとえば

昔のアイドルの曲聴いたり

写真集見たり

インタビューとか残ってたら

その内容読んだりとか』



『へえ~』



僕は素直に驚いた



『でね なんでそのアイドルが

その時代にそれほど人気があったかとか

美羽なりに分析してんの』



『ふうん・・・』



『で もっともっと

美羽のファンのみんなに

喜んでもらえるように

なっていきたいんだ』



『へえ~ ちゃんと

いろんなこと考えてるんだね』



幸いなことにそれからしばらくは

血液検査の結果に変化は起こらなかった

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