偽りの結婚
一瞬の事で理解できず、思考と動作がストップする。
そして……――――
ラルフにキスをされたのだと知覚した瞬間、燃えるように熱い額を手で覆う。
こんなことされたら眠れない…
フワフワとした感覚の中、頬にキスをされた事を思い出しては赤くなる。
もう一方の手で胸に手を当てると、ドクッドクッといつもより早く鼓動を刻んでいる心臓を感じた。
目が覚めてしまったわ。
天候が酷くなる前に眠りにつきたかったのに…
しかし、その心配は杞憂に終わった。
慣れ親しんだ部屋に戻ってきたためか、天候が悪くなる前に寝ようという意識が働いたのか、ラルフが部屋を出ていって間もなく、私は眠りについた。