偽りの結婚
「これで少しはましだろう」
カーテンが閉められたことで、雷の音も気にならなくなった。
もともと遠くの方で鳴っていたため、カーテンを閉めるとほとんど聞こえない。
「僕はまだ公務が残っているから書斎に戻る」
横になった私に布団を掛け、名残惜しそうに頬に手を当てながら話すラルフ。
「夜になると天候が悪化するから早く寝た方が良い」
「そうします…」
私が雷が苦手なのだと分かっているのかいないのか。
そう言うラルフの忠告に素直に従うことにした。
「おやすみ、シェイリーン」
「ッ……!」
チュ…と私の額に触れるだけのキスを残して、ラルフは寝室を出ていった。