偽りの結婚




ご飯を作らなきゃ………


まだ覚醒していない頭がいつもの習慣で今日の献立を組む。


しかし、いつもと違う感覚に気づき始める。

体を支えるのは柔らかいベッドじゃないし、少し肌寒い気もする。




「ん……」

やっと瞼が開けば、ぼんやりと淡い月の光が視界いっぱいに広がる。

自分の腕を枕にして、ベンチの肘にもたれかかっている状況にあぁ…と納得する。



今日は舞踏会にきているんだったわ。

どのくらい寝てしまったのかしら…


王家の舞踏会に来ていながら寝てしまうなど、自分にこんなにも図太い神経があったのかと感心しながらベンチの肘にもたれかかっていた体を起こす。



しかし―――――

あるものを視界の端に捉え、思わず動作が止まる。

も、もしかして……

嫌な予感を感じながらもぎこちなくその方向に顔を向ければ…


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