パパはアイドル♪ ~奈桜クンの憂鬱~
第9章 続く想いとキイロい向日葵



―もう一歩―


奈桜は『つまらない事言うな』と小さな声で言った。


「だって、そもそも何で桜ちゃんをお前に預けたんだよ。向こうにだって親はいただろ?何でお前?」


碧は今まで触れなかった話題を口にする。


「知らないよ。どうでもいいよ」


奈桜は明らかに迷惑そうな顔を見せる。


「お前にもう一度、振り向いて欲しかったんじゃないの?今回の事だってアイツなりの最後の賭けみたいな」


「意味分かんねぇ。面倒くさい話ならいいよ」


「最初からずっと、奈桜に行くのを止めて欲しかった。今からやる事を止めて欲しかった。結婚だって、どうせ勢いだよ。そのうち離婚する。アイツ、素直じゃないんだ。好きな人に振り向いてもらう方法が根本的に間違ってるんだよ。実際のとこ、お前への気持ちが歪んでこうなったと思う。結局、どれも手に入らなかったけどな」


「お前、恋愛評論家になった方がいいよ…」


奈桜がしみじみと言った。
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