狂愛ラバーズ
LOVE.8 -拒絶-
診察時間の終わった夜の病院を数年ぶりに全力疾走する。





「新名くん……私だ。かれんが……かれんが……病院に運ばれた。天宮の病院だ……。」





内線から聞こえる社長の覇気のない声。





頭で考えるよりも先に体が動いていた。





病院では静かになんて言葉は頭の中から消えさっていて、病院内を走り廊下に響くほど煩く扉を開けてしまった。





憔悴した社長に、今にも崩れ落ちそうな夫人………ベッドに寝かされ、腕に包帯をいくつも巻いたかれんちゃん。





「新名くん……。」





社長の呼ぶ声に反応もせず、ゆっくりとかれんちゃんに近寄る。





腕に巻かれた包帯から少し覗く赤紫、左目には眼帯と痛々しい姿に、血管が切れそうなほど怒りを感じた。





「新名くん…最近、かれんの帰りが遅くなかったかい?」


「はい…補習だと…。」


「そうか…。その補習が始まった日から、かれんは毎日担任に暴力を受けてたんだ…。」


「暴力……。」


「先ほど警察に連れられ、担任が来てね……暴力の他に暴言も吐いたらしいんだ。かれんは失敗作だと、死ねとまで言ったらしい。」



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