狂愛ラバーズ
ブレザーからはみ出たシャツをたくし上げると、お腹はもっと酷かった。





「まりあさんっ、ご家族にも連絡を。」


「……携帯、忘れてしまって。」


「番号教えて頂戴。私がかけるわ。」





先生が家に電話してる時も保険医の南先生が来た時も、私はかれんちゃんには触れる事が出来なかった。





なんだか色々ごちゃごちゃしてしまって、動く事も出来ずただ先生達とかれんちゃんを茫然と見ている事しか出来なかった。





多分先生に連れられてか、私は病院にいてベッドで眠るかれんちゃんがいた。





「……ふっ……うっ……あなた……かれんが……かれんが……。」

「ありさ……まりあとひなのを。」




お母さんがお父さんの体に寄り掛かり泣いている姿が視界の端に写る。





「まりあ、ひなの、今日はもう帰ろう。」





ありさちゃんに手を引かれ、病室を出て静まりかえった廊下を歩いて行く。





誰も口を開かなくて、足音だけが響いている。





誰もいないロビーを歩いてると、慌ただしい足音が聞こえ顔を上げると長身でスーツ姿の男性とすれ違い、男性は病棟に走って行った。




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