ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~

├警護団長の予感

桜Site
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赤坂――。

東京の、日本の中枢が凝縮された永田町と隣り合う街。

そして元老院が住まう東京中心地、四谷の鬼門方向にもあたる。


古来より"栄華"の犠牲となり、邪悪な気が流れる忌まわしき方角に、日枝神社や豊川稲荷を始めとした日本有数の霊的結界が張り巡らされた場所。


血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)がこの場所に多く集うというのは、邪気を考えてみれば至極当然なことのようにも思えるが、霊的能力者の集団……紫堂本家がある場所と思えば、やはり何処か意図的なものが感じられる。


更に東京都という土地全体にかけられた呪詛。


櫂様を1つの頂点とした五芒星の中心たる地に、その鬼門に、血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)が集うのは決して偶然じゃない。


8年前の過去の産物"生ける屍"と、血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)。


似て非なる存在は、この赤坂の地にて、血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)たる呪詛の役目を強く果たしているようだ。


櫂様と玲様にとって、呪詛は禁忌。


ただ以前のように櫂様や玲様が怯まないのは、玲様の強めた月長石による身体の結界と、芹霞さんとの再会による心の防護が出来たからだと思う。


思えば――。


緋狭様が玲様に月長石の扱い方を伝授したのも、氷皇と賭けをしてまで芹霞さんを手元に置きたがったのも、今この状況を見越してのことなのかもしれない。


緋狭様の賭けの勝負の行方は判らないが、それでも芹霞さんが今こちらの手の中にあるのは、誰もの心の強みになっている。


もしこの先――。


玲様と芹霞さんが、櫂様から離れるようなことがあれば、櫂様は確実に変調をきたす。


そして私と煌が櫂様と玲様の背後を護る。


この連携が崩されれば、全ては仕舞いだ。




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