ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~

└警護団長の推察

 桜Side
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攻撃が全て弾かれる。


どんな攻撃も、魔方陣に藤姫が護られている限り、無効化されている。


これを何とかしない限り、

藤姫には傷1つつけられない。


元より藤姫は――

ここまで力を操る側の人間ではなかったはずだ。


基本、元老院はそんな力を持たずとも、持った人間を従わせるだけの権力がある。


突然変異と緋狭様は言ったけれど、もしそうであれば、突然変異故の穴があるばずだ。


亜利栖との融合に時間が経っていない今なら、何か突破口があるはずだ。


なぜ藤姫は、黒の書に拘ってきたのか。

なぜ藤姫は、新生して尚…紫堂に手出しをしたのか。


血染め石――

本当にそれだけのことなのか。


持ち主は仮にも紫堂の次期当主。

1歩間違えれば、紫堂全勢力をもって反乱を起こすかもしれないのに。


起こさないと、或いは抑えきれると踏んだ自信は、何処からくる?


当主との密約か?


そんなものに頼る藤姫ではないだろう。


五皇の存在か?


私達には最強の紅皇がいる。


だすれば――?


私は、1つのことを思った。


緋影に拘った藤姫。


緋影…。


今、藤姫に刃向かっているのは――

緋影の陽斗と、それを多少なりとも受け継いでいるはずの煌と、緋影が派生した紫堂の玲様。


つまりは、緋影に緋影が対抗しているから弾かれるのではないかと。



確かに緋狭様でも手出しできなかった闇の力は偉大だろう。


だけど緋狭様とて、紫堂の縁者だというのなら。


だとしたら、唯一私だけが――。


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