賢者と僕
変化

僕は3兄弟の次男で、一番のできそこないらしい。
兄貴と弟は父の下でデザイナーの手伝い跡継ぎをしたいみたいで、一緒に仲良くしている。
父は厳しい人で笑った顔はほとんどみたことなかった。真面目でつまらない人。お前は才能がないと幼いころから言われていた。兄貴と弟は格段に秀才で僕は足元にもおよばなかった。だから兄貴、弟からも嫌われていた。なんでそんなこともできないのかって。家族から逃げたかった。だから1人暮らしできる都内はずれたこの大学を選んだ。


また自分はあのベンチで昼ごはんの後寝ていた。
「なんで、またいるんだよ、がり勉。他にあるだろう勉強するとこ。」
がり勉がいた。
「やぁ秀司クン。あの、なんか、たぶん、親の話を嫌だったみたいだね。本当にゴメン、ゴメン。」
テーブルに頭を下げた。こっちが気恥ずかしくなった。
「いいよ別にさ、がり勉。でっなんでここで勉強するんだ。」
「いやいや逆だよ。」
「何が?」
「秀司クンがさ?何でここで寝るのさ?」
「ここしか寝るとこなかったからだ。」
「僕も一緒さ、ここしか勉強できないのさ一年前からここで毎日勉強してるんだ。」
笑顔でがり勉は言う。
「じゃー俺は隣のベンチで寝るから邪魔するなよ。」
俺は立ち上がり違うベンチに行こうとするが、がり勉が手を掴んだ。
「ここ教えて。」
「はっ?専攻違うから専門の勉強は教えらねーよ。」
「大丈夫、初等教育学科だから基本高校までの勉強を幅広くやるんだ、秀司クンは高校も成績優秀だから算数できるだろう?」
「算数??お前そんなのもできないのかよ。」
「算数は逆にひねくれててできないんだよ。」
教科書をみた。
「……少しまて、少しまていいか、ここはえーとあーあーこうやるんだよ。」

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