賢者と僕
がり勉の勉強をここのベンチで見てやる習慣が増えた。
 がり勉の勉強を観ていて、本当に本当に馬鹿だった。要領が悪い、頭の回転が悪い、記憶力がない。どれもすべて当てはまった。普通の奴が1時間でできるとこを2時間、3時間、最悪の時は1日かかる感じである。ただ努力はしていたようだ、そうでなければ馬鹿な、がり勉が倍率7倍8倍の高い初等教育学科に入学できなかっただろう。がり勉はまるでリュックサックを持って何処かのキャンプ場に行く感じで参考書、ノートが鞄に詰まっていた、今日も手にバンソウコウだらけで少しイタイタしかった。


「おいがり勉、おまえは本当毎日ここで勉強してるな。」
「平日、祝日、晴れ雨関係なくいつもいたよ。」
(おいおい、雨の日はないだろう屋根ないんだからいや、がり勉ならありえるか。)
「秀司クンこそここ最近は毎日いるね。」
「昼寝と読書に最適な場所だからな。がり勉は毎日どれくらい勉強するんだ?」
「うーん」
がり勉はペンを口に近づけ、
「5、6時間かな、」
「そんだけしてこの程度か、勉強の才能ないね。」
「あはあは痛いとこつくね、秀司クンはどれくらいなのさ?」
「基本しない、授業中にして、テスト前にするぐらい。」
「うー秀司クンは僕とちがって才能あるんだね、羨ましいよ。僕はもっと勉強しなきゃいけないんだけど、生活するためにバイトしないといけない、夜勤の警備員とかで、中々時間がとれないんだ。」
(親から仕送りで優々と生活でバイトもしたこがない俺とは偉く違う、がり勉も要領が悪く生活も大変な奴だ。)


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