幸せの条件
ほんの少しの
 夏休みはあっという間に終わった。

淡々と仕事をし、ほとんどまっすぐ帰るだけの毎日。

退屈・・・。

つまらない・・・。

私は、ため息をつく。

「な~に考え込んでるの?」

悠が私の頭を軽く叩く。

「眉間に皺。」

悠に指摘され、私は、慌てておでこに両手を当てる。

「今度はなにを悩んでるの?恋愛?友情?」

「・・・自分の年齢について。」

「またそんな答えが出ないことを考えて。」

悠は、ゆっくり椅子に座る。

「悠は考えたことないの?私たち、結婚していても子どもがいてもおかしくない年齢でしょ?」

「人は人、私は私っていうさくらが珍しいことを言うもんだ。」

「私だって歳をとるわ。いつもまでも女の子じゃいられないと思うの。」

「やっと気付いた?・・・明日は嵐ね~。困った、困った。」

「ちょっと悠・・・。」

「さくらも考えておいた方がいいんじゃない?将来のこと。全部が駄目になった時に進む道がなかったら辛いよ。」

私は、なにも言えなかった。
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