強がりも全部受け止めて
相田さんの向かったベンチは今立っている場所と近い。





ホテルの中庭はとても静かだし相田さんにも私たちの話す声は聞こえるだろう。




相田さんはベンチには腰かけずに、脇に立ち、こちらを見ていた。





ーー不思議。




相田さんが話を聞いててくれると思ったら。
見守っていてくれると思ったら。




それだけで素直になれる気がするんだもの。





ひとつ深呼吸をして、彼へと向き直る。



「話って、何?」



ゆっくりと言葉を紡ぎだした。




すると彼は、腰を直角に折るくらい深々と頭を下げてきた。





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