~LOVE GAME~



貴島君は好きだけど、それは恋じゃない。
私がずっと見ていたのはひとりだけ。
初めからいつの間にか、恋していたのはひとりだけだ。
私は勇気を振り絞って言葉に出す。

「私は龍輝君が好きだから……」

恥ずかしくてたまらない。
それでも、今ここではぐらかしたり言葉を濁すのは絶対してはならないとわかっていた。
龍輝君の返事を聞くのが怖くてギュッと目を閉じる。
だって私の負けでしょう?
本当にこれでGAME OVERだもん。
龍輝君の遊びはこれで終わったってことでしょう?

「お前の考えが手に取るようにわかるんだけど」

沈黙の後、龍輝君は呆れたように言った。

「だって……」
「バカだな…」

その声はとても優しく、甘い響きをしていた。

「え……?」

顔を上げると、私の唇が龍輝君によって塞がれた。
甘く、優しい気遣うようなキス。
そして、どこか名残惜しそうに離れた。

「っ…ん………」

そっと唇が離れ、私はポカンと龍輝君を見つめる
今、何が起こったの?
龍輝君が私にキスをした?

「なんで……」
「ん? キスしたくなったから」

シレッと答える龍輝君に目を丸くする。

「えぇ!?」

キスしたくなったから!?
たったそれだけ?
思わず言い返そうとすると、言葉を遮られた。

「龍……「疑問に思わなかった?」

え? 疑問?
何のことかわからず、キョトンとする。

「そもそも、GAMEの内容が一方的過ぎるとは思わなかった?」
「えっ、まぁ思ったけど。でも……」

龍輝君の俺様な物言いに、それ以上は深くは考えなかった。

「お前が俺に惚れたら負け。惚れなかったら勝ち。じゃぁ、俺の気持ちは?」

龍輝君の気持ち……?

「俺がお前に惚れてるとは思わなかった?」

…。
…………え?

「ごめん、よくわからない……」

どういう意味だ?
龍輝君が私に惚れている?
困惑している私に龍輝君は苦笑する。

「初めから俺がお前に惚れてるって前提で始めたんだよ」

………は?

「それって初めから龍輝君は私が好きだったってこと?」
「うん」
「じゃぁあのGAMEは……」
「言ったろ? “俺を惚れさせる”って。好きじゃない女に惚れられたってしかたないだろ」

ニヤッと意地悪な笑顔を向ける。
やられた。そういうことだったのか
いや、そもそも私が鈍感すぎたのかもしれないけど、自分のことでいっぱいいっぱいで、まさか龍輝君が私を好きだなんて考えもしなかった。
私が好きだったから、振り向いてもらうために始めたGAMEだったのか。




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