偽りの結婚(番外編)
二人きりの旅行【完結】
「シェイリーン、旅行に行こう!」
ラルフにそう言われたのは、寒さが身にしみるある冬の日の事。
ベッドの上で、書類にサインをしていた手を止めて、そう言う。
「え、えぇ。いいけど・・・そんな時間あるの?」
いきなり出された話題に、読んでいた本から顔を上げる。
承諾したはいいものの……
提案したラルフ自身が公務で忙しい。
最近、夜は一緒にすごせるものの、日中は毎日一緒というわけではない。
ラルフと旅行に行けるのは嬉しかったが、現実問題難しそうだ。
「大丈夫。時間は作るよ。」
シェイリーンが承諾したことに、嬉しそうにそう言うラルフ。
「けれど、なんでいきなり旅行なの?」
不思議に思ったので、聞いてみる。
旅行というわけではないが、王宮を出て、他国に行くということはしょっちゅうだ。
なので、今更ラルフが旅行に行こうと言いだした訳が分からないシェイリーン。