偽りの結婚(番外編)
「僕たちは新婚旅行に行っていないだろう?」
ラルフの問いに、コクコクと頷く。
二度目の結婚だったからか、旅行に行きづらくて。
あの時も公務が忙しかったし、私も妃見習いを本格的に始めたから時間がなくて…
そんなこんなしていたら、いつの間にか旅行は忘れ去られていた。
他国訪問と言う名のプチ旅行がたくさんあったので、気にしていなかったのだけれど。
目の前の夫は違うらしい。
「君と二人きりで、ゆっくり旅行に行きたいと思ってね。」
「私と二人で・・・・二人で・・ッ!?」
ラルフの言葉に、驚くシェイリーン。
「二人きりでなんて大丈夫なの?」
シェイリーンの疑問も最もだった。
これまで、どこへ行くにしろ、侍女や護衛がついてきて。
生活の範囲でも彼らが身の回りにいたから・・・