楽園の炎
第二十八章
三日後、皆は正妃の部屋に集まって、憂杏の衣装合わせをしていた。
さすがに知事と皇太子は、他の部屋で仕事をしていたのだが、そこに一人の侍女が入ってきた。

「あの。東方の商人の一隊が、是非お目通りを、と申しておりますが」

「来たな。叔母上、例の竜の隊ですよ。そういえば、そろそろ来ると言っていました」

夕星がにやりと笑って、正妃に言った。
正妃も竜のことは知っているらしく、ああ、と軽く頷く。

「そうね。それでは、広間に通しておいて。皆、見に行きましょう。東方の商品は、何かと面白いものが多いのですよ」

おっとりと言って、正妃は憂杏に着せていた衣装を、侍女に命じて着替えさす。
ナスル姫と朱夏も、正妃が同時に作ってくれた軽い上着を取って、侍女に渡した。
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