モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語

祭前日。





次の日、朝6時にたたき起こされた二人は眠そうな表情をしながら仕度をし

沢田についていく。


「こんな時間から仕事?」

「いや、違う。」

「じゃあ何。」

遥はまだ昨日の事を根に持っているらしく、無愛想に答える。

そんな彼を見て海は小さく笑っていた。

「今日は仕事は休みだ。

明日の祭りに備えて買い出しと仕込みをする。」

「え?そうなんですか?」

「昨日言わなかったっけ?」

「聞いてねえよ。」

じゃ、今言った。と適当に返事をする沢田に呆れ

ため息をついた。


「俺は違うことしてるから、

双子はここに書いてある食材を買ってきてくれ。

ここをまっすぐ行けば商店街だからわかるだろ。」


「わかりました。」

海は快くメモとお金を受け取ると、鞄に入れた。


「行こ、遥。」

「うん。」


沢田に見送られ、二人は商店街に向かった。





朝早いというのに賑わっていたそこは凄まじい人ごみだ。

遥は海の手を取り、はぐれないようにして歩く。


「は、遥っ、」

「海、はぐれるなよ。」

「ちょっ、」

「海?」


突然海の声が聞こえなくなった。

遥は海の手をしっかり握っているから大丈夫だと思っていたが、

心配になり振り向く。

「あ、あのっ///あ、あたしっ///」
「・・・誰?」

頬を染めた知らない女子が上目使いで遥を見ていた。

自分の手を見ると彼女の手を握っている。

(間違えた!)

「ご、ごめん!間違えた!」

「えっ///」

ばっと手を離して遥は海を探しに来た道を戻っていく。
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