イマージョン
"美夢ちゃんへ"
バイトの休憩室の壁にメモ帳にした紙が貼ってある。美夢ちゃん?何だろう。躊躇無く紙を捲る。
【美夢ちゃんへ!他の人から聞いたんだけど美夢ちゃんと私、同い歳なんだってね!入ったばっかで緊張してたから嬉しいし安心しちゃった!友達になろ~! 舞より。】
つい最近入って来た舞からの手紙だった。油性マジックで力強く大きな字で、やたら"!"の多い手紙に一通り目を通した。手紙の最後の文章に携帯番号とアドレスが書いてある。友達になろ~!って改めて言われた事は無いな。字は性格が現れるって本当かもしれないな。凄く字が生き生きとしている。しかし普通、余り言わないと思う。友達っていつの間にか仲良くなって気が付いたら友達になっていてキッカケが思い出せない。でも純粋に嬉しい。力強い堂々とした字で、こんなにアプローチして来るのだから、人当たりが良くて悪い子では無いのだろう。夕方の休憩時間に、いいよって返事をしよう。
いつもの朝の通勤電車で今日こそは食べ過ぎない様にしようと毎日考えては仕事に入るけれど、その考えは疾うに無くなっていて、ドリンクダイエットもあんなに、お金を注ぎ込んだのに結局役に立たず、私の脳内に支配され行き着く場所は、今日お菓子は何にしよう、だ。葡萄味のマシュマロに決めた。
今日は千春はお休みか。仕事では無い日、彼女は何を食べているのだろう。絶対3食は食べていないな。あの身体は。胃袋取り替えてくれないかな。
お昼のパンが胃に残って、しゃがむと苦しくてジッパーが降りて来てしまう。あー可笑しい。消化が悪い私の胃袋が更にマシュマロで、いっぱいになる。
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