幻獣のタペストリー ～落ちこぼれ魔導士の召喚魔法～

五月祭の女王

１

ノックの音がして、あたしは自分の部屋のドアを開けた。


「ホーク？　おはよう」


「起きていたのか」

ホークはあたしの顔をじっと見た。

「近頃のお前は、何かおかしいな」


「人の顔見るなり、それ？」


あたしは笑ったけど、ホークの目は真剣だ。


「夕べも早くに休んだそうではないか」


そりゃね、日の出と共に起きたかったんだもの。


「その割に、疲労の色が見えるのはどういう訳だ？　ちゃんと眠れているのか？」


「眠れているよ」

あたしはため息混じりに言った。

どうやらあたしを心配した母が、ホークに告げ口をしたらしい。


「食欲は？」


「あるよ。そろそろ朝ごはんを食べたいなと思ってたとこ」