憧れの彼と恋する方法
海人君を降ろし、車は再び走り出す。
今度こそ、正真正銘2人きり。
「助手席に座れば?」と言われたけど、万が一の事を考えて私はそのまま後部座席に留まった。
「海人君てほんと面白いね」
「そうなんですよ、あいつも俺も基本的に馬鹿だから」
「そんな事ないよ」
他愛のない会話だけど、その一言一言が私の心にずっしりと残る。
こうしていると、大事なことを忘れてしまいそうになる。
この幸せな時間は
『残り2ヶ月もない』
という事を。
「送ってくれてありがとう」
家の前で降りた私は、そう言って小さく手を振った。