愛を餌に罪は育つ

職場

年明け早々に私は病院を出ることにした。



『忘れ物はない?』

「大丈夫だよ、荷物は鞄一つだけだから」

『それもそうだね』



朝陽は鞄を持ち、空いている手で私の手を取った。



『行こう』



頷くと朝陽は笑顔で歩き始めた。


住む場所で悩んでいた私に朝陽は『一緒に暮らそう』と笑って言ってくれた。


こんな私と一緒にいて本当に嬉しいのかなって思いながらも私は朝陽の好意に甘えてしまった。


今私が頼れるのは朝陽だけだから。


朝陽の家に住む事は勿論笠原さんに連絡して伝えた。


今の状況を考えるとその方がいいと言ってくれた。


私の中で笠原さんは刑事というよりも、なんだかお姉さんという感じだった。


年齢は聞いていないからもしかしたら私の方が年上かもしれないけれど、見た目は私なんかよりもお姉さんだと思う。






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