バーチャル歴史的愛情故事
第三章□未来
翌朝────
「美濃、朝だ」
「…んぅ」
「起きないとまた襲うが?」
「…………起きますっ!」
昨夜の行為を思い出した美濃は飛び起きた。
「今日は雨が降っている。美濃に町を案内したかったんだがこの雨じゃどうしようもない」
「すごい雨…」
外は叩きつけられるような雨が降る。
夏だというのに肌寒さも感じた。
「昨夜の夜枷に天が悔し涙を流しているのかもしれぬな」
「へ?」
フッ、と笑う政宗。
「今日は何も予定がなくなった。どうするか…何かしたいことはあるか?」
「うーん…外に出られないってなっちゃうとあんまり思い付かないなぁ」
「では、美濃が生きていた時代についていろいろと聞かせてくれ。今とは違うのだろう?」
政宗はそう言うと引き出しから紙と筆を取り出した。
「メモするんですね。えっと…じゃあ、まず町の状態は高い建物がたくさんあって車もたくさん走ってます」
「くるま、とは?」
「燃料を入れると走る鉄の塊です。あと電車や新幹線もその一部。ちょっと違うけど」
「なるほど…他には?」
「あ、飛行機!」
「なんだそれは?」
「鉄の塊が、空を飛ぶんです!」
「……なんと…いや、それは嘘であろう。鉄の塊が空を飛べるはずがない」
「政宗さんは信じられないかもしれないけど…その飛行機に乗れば世界中どこにでも行けちゃうんですよ?」
「…信じられん…」
「…あ、政宗さん少しだけ私たちの時代にいたんじゃないんですか?飛行機、見なかったですか?空を見ればたくさん飛んでるのに」
「いや、見ておらぬ…車というものも、電車というものも…」
「そうですか…」
政宗はスラスラとメモを取ると、満足げにニヤリとした。
「これからは美濃に聞いた情報をまとめて、本にしよう。美濃との記念だ」
「本?」
「まだまだ俺が知らないことがたくさんあるんだろう?もっと教えてくれ」
政宗は目を輝かせて話を聞いていた。