ふたり。-Triangle Love の果てに


まだ真っ暗な午前4時。


店を出た私は、今から眠りにつこうとする静まり返った本通りを通り抜ける。


あの角を曲がれば、彼がいる。


そう思うと、いつの間にか早足になってしまう自分がいる。


自販機の白い光に浮かび上がった、その背の高いシルエットが目に入った瞬間、私は思わず駆け出していた。


その胸にためらうことなく飛び込む。


見つめ合った私たち------


だけど彼は何も言わない、言ってくれない。


ただ少し目を細めた後に、唇の端を持ち上げるだけ。


無言のまま唇を重ね合わせた。


言葉なんていらない。


お互いが求め合うがままに口づけをする。


私の頬を包む彼の手のひらの大きさとぬくもりに胸を高鳴らせながらも、それとは正反対の安らぎをも感じる。


そして彼の唇は時に強引で、かと思えば優しく私を奪う。


その変わりようにとまどうこの身体を、彼は強く引き寄せるの。


こうやって会う度に


唇を重ね合う度に


私は彼に夢中になってゆく。


もう彼がいてくれたら何も怖いものなんてない。


そう思えるほどの人に出逢えたの。


ねぇ、泰兄。


抱きしめて。


もっと強く抱きしめて。


私たちふたりが再び巡り会ったこの奇跡が、夢でないことを確かめさせて。


そして、永遠だと思わせて…
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