シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

・浮揚 玲Side

 玲Side
*****************



――お似合いの2人ですね。


舞い上がって浮き足立っていたことは認めよう。


僕と芹霞の"お試し"は…僕と芹霞が1日限定の"彼氏"と"彼女"だっていうこと、知っているのは僕達だけだけど…

だけどそんな事情も知らない他人が、僕と芹霞を恋人だと認めてくれたのが、僕にとっての瑞兆の気がして、嬉しくて嬉しくて仕方が無かったんだ。


ここの処、鬱屈な思いばかり抱いていただけに、外部に向けて、自然と笑みが零れていたように思う。


完全…オンオフの切り替えが出来なくなってしまったのは、芹霞がますます可愛くなっていったから。


元々可愛いのだけれど…ティアラ姫と僕好みの服との差が激しすぎた。


好きな子が僕色に染まっていくという、この高揚感、そして充実感。


どうしようこの動悸。


このまま発作起こして死んだとしたら、多分僕は永遠に笑われ続けるだろうけど、それはそれで幸せだと思う。


店舗は酷い人だかりだった。


僕としては煩いだけ。

芹霞との時間をじっくり愉しみたいのに、ただ邪魔なだけ。


そして僕の気分を害したのは、注視されているのが僕だけではないこと。


客のカップルの…男すら、ちらちら芹霞に視線を送って。

店の外からも、男の視線を感じて…たまらず僕は、手とか繋いで男達を牽制してみたりしたけれど。


――玲くん、凄い人気だね。


いいよ、芹霞。

全ては僕だけに対する喧騒だと思ってて?

下手に…僕以外に、意識を飛ばないで欲しいんだ。

僕だけを見つめていて欲しいんだ。


こんな可愛い"彼女"に釣り合える僕なのか、あまり自信ないけれど…それでも照れる芹霞を見れば、少しは自信を持っていいのかな。


僕の着替えなんて、本当に予定外だったのだけれど。
< 169 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop