身代わり王女に花嫁教育、始めます!
カリムが岩場に戻ると、馬に寄り添うシャーヒーンがいた。


美しい人間の女の姿――それも、艶めく裸身を惜しげもなく晒している。


(久しぶりに思い切り力を使ったおかげか……これが来たときなら、禁を犯していたかもしれんな)


苦笑いを浮かべながら、カリムはリーンのことを考えていた。

儀式と称して身体に触れたが、純潔と認めた以上、そう簡単に触れることはできなくなる。王の身分を明かせば楽だが、リーンには刺客の可能性もあった。


身分を明かさず、正体が明らかになるまで楽しむ方法――。


カリムは濡れた髪から金色の雫を振りまきながら、フッと口元を緩めたのだった。 


< 65 / 246 >

この作品をシェア

pagetop